抗酸化作用とビタミン・ミネラル
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「抗酸化」、「抗酸化作用」という言葉をよく耳にしますが、これはどういう現象・作用のことをいうのでしょうか。この項では、抗酸化という現象について今一度振り返るとともに、この反応に関わっている栄養素について触れていきたいと思います。
私たち人間が生きていくうえで不可欠なもののひとつに酸素があります。私たちは空気中の酸素を呼吸によって体内に取り入れ、この酸素を使って食事から取り入れた栄養素を燃焼させた結果、活動に必要なエネルギーを得ています。
このエネルギーがつくられるときに、燃焼に使われる酸素の一部が酸化力の強い「活性酸素(フリーラジカル)」に変わります。
活性酸素には良い側面と、そうでない側面があります。良い側面としては、体内に侵入してきた細菌を白血球と協働して攻撃するということです。逆に人体を構成している成分と活性酸素が反応してしまうと様々な有害な面が現れてきます。活性酸素は極めて反応性が高いため、タンパク質や脂質、細胞核のDNAなどを酸化してしまうのです。このことが細胞をガン化させたり、生体内で様々な化学反応に関係する酵素(タンパク質からできている)の働きを無効化したり、重要な細胞膜(リン脂質)の機能を失わせたりします。これらの結果、動脈硬化や様々な生活習慣病をもたらす要因のひとつになっていると考えられています。
酸素を利用して生きている生物である以上、活性酸素は体内で必ず発生します。しかし、幸運なことに私たちの体内には、有害な活性酸素の働きを無効化する機能、すなわち抗酸化力を発揮する仕組みを持ち合わせています。それが、抗酸化酵素であり、抗酸化物質と呼ばれている各種ビタミンとミネラルの存在なのです。
抗酸化物質(栄養素)、あるいは抗酸化に関わるものにはいくつかあります。それらを挙げると、抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンE、C、β-カロテンの3つ、ミネラルではセレニウム、マンガン、銅、亜鉛、鉄の5つということになります(これら以外にも、フラボノイドやカロテノイド、コエンザイムQ10、NADH、各種脂肪などがあります)。
抗酸化ビタミンとは別に、私たちの体内で活性酸素を処理してくれるものがあります。それが抗酸化酵素と呼ばれているものです。抗酸化酵素にはスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)やグルタチオンペルオキシターゼ、カタラーゼがあります。マンガン、亜鉛、銅はSODの、セレニウムはグルタチオンペルオキシターゼの、そして鉄はカタラーゼの構成成分として使われています。
抗酸化酵素と抗酸化物質は、それぞれ単独で抗酸化能を発揮しているのではなく、お互いに連携ながら働いています。その一例を挙げると以下のようになります。
■抗酸化酵素のグルタチオンペルオキシターゼは、ビタミンEが不足すると
働きが悪くなります。そしてEPAなどの脂肪酸によって働きが活性化
されます。
■ビタミンEが抗酸化能を発揮すると自らが酸化されてしまいますが、ビタミンC
やコエンザイムQ10の働きにより還元されて元の状態に戻ります。
■上記で酸化されたビタミンCは、還元性を示す活性型のナイアシン(NADH)
の存在によって元の状態に戻ります。
■カロテノイドはビタミンEと協働して、細胞膜など脂肪の部分での抗酸化能を発揮
します。
この例にみられるように一言で「抗酸化」と言っても、様々な物質が関わり合いを持って働いています。従って、抗酸化という言葉に惹かれて、一部の栄養素だけをサプリメントで積極的に摂取しても目的とする効果は得にくいということになります。何よりも、栄養素が極端に偏らないことが大切となってきます。
参考:『こんなサプリメント(栄養補助食品)が欲しかった』山口武著(主婦の友社)